デコラティブアスファルトの歴史・日本編②

ショッピングモールでの採用で「ストリートプリント」の認知が広がる

トミナガは、デコラティブアスファルト未開拓の地日本でカナダ発の「ストリートプリント」を、アスファルト道路舗装工事の現場ではスタンプコンクリートの代替工法として、民間工事の現場ではタマホームの展示場のような場所でのバリューアップのための工法として、それぞれ販売提案を行ってゆきました。しかし、日本に「ストリートプリント」を決定的に知らしめることになったのは、千葉県印西市の大型ショッピングモール「BigHop(ビッグホップ)ガーデンモール印西」でストリートプリントの採用が決まったことでした。

BigHopガーデンモール印西は、2007年にオープンした敷地面積15万7千平方メートルの大型ショッピングモールで、約80店の大型店舗が入居している本格的商業施設です。モール内には観覧車やクライミング施設などを備えたアドベンチャーパークがあり、そのアドベンチャーパークのフロアリングにストリートプリントが採用されたのです。

スターレッドやロイヤルブルーなどの独特の鮮やかなカラーリングが施されたアドベンチャーパークのストリートプリントは否が応でも来場者の目にとまり、多くの業界関係者の関心を引く結果になりました。デコラティブアスファルトとしてのストリートプリントは、この時からようやく業界において陽の目を浴びる存在になったのです。

世界各地へ散っていったストリートプリントの種

なお、「ストリートプリント」を開発し、世に送り出したカナダのIPCは、2006年8月頃までに事実上経営破綻し、「ストリートプリント」の事業をカナダの別の会社へ譲渡したことは前の記事でお伝えした通りです。「ストリートプリント」の事業はその後、さらに別のアメリカの会社へ再譲渡されるなどし、関係者は四散してしまいました。

ストリートプリントの特許期限到来のためか、ストリートプリントの事業はその後イギリス、オーストラリア、イタリアなどのIPCの取引先企業が引継ぎ、それぞれの国において継続させてゆくことになります。中でもイタリアのImplexa(インプレクサ)社はイタリアにおけるIPCの認定施工会社で、イタリア国内で多くの現場にストリートプリント工法を施してきたベテラン企業です。そのImplexaがストリートプリントの工法に独自の改良を加え、新たなデコラティブアスファルト工法として生み出したのがStamp Road(スタンプロード)です。

狭い現場でも小回りが利く「スタンプロード」

スタンプロードとストリートプリントは、デコラティブアスファルト工法としての基本的なプロセスは似ています。いずれもアスファルトの表面をヒーターで加熱して溶融し、デザインテンプレートをコンパクターで加圧してデザインを施し、コーティングをして仕上げるというプロセスをとります。

違いは、ストリートプリントではプラスチック製のデザインテンプレートを使う点(ストリートプリントでは鉄製のデザインテンプレートを使います)と、ヒーターのサイズが違う点です。ストリートプリントのヒーターよりもスタンプロードのヒーターは小さく、小回りが利くので小規模な現場でも使いやすいというメリットがあります。また、プラスチック製のデザインテンプレートは鉄製のデザインテンプレートよりも軽いので、作業スタッフにとっては扱いやすいです。また、ヒーターも小型であるため、大型のヒーターよりも運搬や取り扱いが簡単であるというメリットもあります。

デコラティブアスファルトの普及はこれから

本ブログの主宰者で、イタリアのImplexa社の日本総代理店である株式会社三豊工業の佐藤俊也社長は、ストリートプリントが日本に紹介された時のインパクトは、スタンプコンクリートが紹介された時のインパクトに比べるとやや弱かった感が否めないものの、道路や駐車場などのアスファルト舗装の現場においてはそれなりにニーズがありそうだという予感をもったと述懐しています。日本にデコラティブアスファルトが紹介されてから間もなく20年を迎えようとしていますが、単色のアスファルトにデザインやカラーリングを施したいというニーズは一定量存在し、かつ今後増加することが見込まれているため、デコラティブアスファルトの市場は今後さらに拡大する可能性が高いと思われます。

デコラティブアスファルトは現在、特に公共事業で多く採用され始めています。公共事業では歩道や遊歩道、商店街や公園の広場などでの採用が広がっています。自治体によっては、デコラティブアスファルトが事実上の標準仕様になり始めているところもあります。

民間工事では車路などのマンションの外構工事や、ショッピングモールの外構工事などでの採用が広がっています。特にショッピングモールは、ストリートプリントを日本に知らしめた起爆剤であることもあり、開発フェーズで最初からデコラティブアスファルトがスペックされるケースが増えています。また、インターロッキングなどの置き換えとしてデコラティブアスファルトが使われるケースなども増えてきており、民間市場での普及も今後さらに進みそうです。


(取材協力)
株式会社三豊工業代表取締役社長佐藤俊也氏
https://sanpou.biz/site/


(参照サイト)
https://www.bighop.jp/
https://iko-yo.net/facilities/10926
https://sp-kougyoukai.jp/case/factory/case_108.html


(執筆者)
経営コンサルタント 前田 健二(まえだ・けんじ)
大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップや経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立、新規事業立上げ、アメリカ市場進出を中心に支援を行っている。

2024.12.20