アスファルトのメリット

前回の記事で、世界や日本におけるアスファルト舗装の歴史を簡単にご紹介しながら、「アスファルトとは何か?」について解説いたしました。今や世界中の道路舗装に使われ、道路舗装資材のグローバルスタンダードとなっているアスファルトですが、そもそもアスファルトを道路舗装に使うメリットは何でしょうか。今回は、アスファルトのメリットについて解説します。

コストの安さがアスファルトの最大のメリット

アスファルトの最大のメリットはコストの安さです。ここで言うコストとは、資材コストや工事費を含むイニシャルコスト(初期費用)、保守・維持のためのメンテナンスコスト、そしてリサイクルコストなどを合計したトータルコストという意味で、一般的にアスファルトは、コンクリ-トなどの他の舗装資材よりもコストパフォーマンスに優れています。

ただし、当然ながら例外もあります。例えば、あくまでも一般論ですが、工事の規模が大きくなればなるほど相対的にアスファルトの方が、イニシャルコストが安くなる傾向があります。逆に工事の面積が相対的に小さいケースでは、アスファルトのイニシャルコストがコンクリートなどの他の資材よりも高くなる場合もあります。工事ごとにケースバイケースですが、俯瞰して見るに、アスファルト舗装工事は他の資材を使った舗装工事に対して、総じて二割程度イニシャルコストが安いという感覚があります。

工期の短さもアスファルトのメリット

また、工期の短さもアスファルトの大きなメリットです。アスファルト舗装では、敷設が終わるとただちに交通解放ができます。コンビニエンスストアの駐車場程度であれば、二日もあれば工事が終わり、その翌日には交通解放して車や歩行者などを通すことが可能です。一方、一般的なコンクリート舗装では、打設が終わった後にコンクリートを硬化させるのに1-2週間程度休ませる必要があります。そうした乾燥養生期間中の1-2週間は、車も歩行者も原則全面立ち入り・通行禁止になります。

例えば、ガス管の工事などでアスファルトを掘り返した場合など、アスファルトであれば即日交通解放できますが、コンクリート舗装では掘り返した道路を一週間以上も通行止めにする必要が生じます。ガス管や水道管などの道路工事でアスファルトが主に使われているのはそれが最大の理由です。

また、アスファルト舗装は比較的工事が簡単で、一般的に工期が短く済む傾向にあります。コンクリート舗装のように鉄筋の仕込みなどの作業も必要なく、時間を大きく節約することが可能です。

走行時の静寂性に優れたアスファルト

車などの走行時の静寂性に優れているのもアスファルトのメリットです。米国アスファルト技術センターがまとめたレポートによると、アスファルト舗装はコンクリート舗装に比べて、一般的な車などの走行時に発生する騒音レベルが総じて2から3デシベル程度静寂であるとされています。アスファルト舗装ではコンクリート舗装で必要とされる目地などが必要なく、車が目地の上を走行する際に発生する衝撃音などが生じないことなどが理由であると考えられています。

また、アスファルトがもつ素材としての特性として、高い柔軟性と浸透性が挙げられます。その高い柔軟性と浸透性が車などの走行時に生じる騒音を吸収し、封じ込める効果をもたらしています。

メンテナンスが簡単なアスファルト

さらに、補修などのメンテナンスが簡単なのもアスファルトのメリットです。コンクリート舗装などに比べてアスファルト舗装は施工が簡単であり、舗装工事の内容や構造がよりシンプルであることから、補修も比較的簡単であるとされています。

一方で、アスファルト舗装の法定耐用年数は10年で、コンクリート舗装の15年よりも5年短くなっています。コンクリート舗装よりも耐久性に劣るせいですが、それゆえ一般的にアスファルト舗装では、コンクリート舗装よりも頻繁にメンテナンスが必要になるとされています。メンテナンスコストを含めた耐用年数全体にかかるトータルコストでは、場合によってはコンクリート舗装の方が安くなる可能性もあります。

メリットを最大限に生かせる現場ではアスファルト舗装から検討を

以上、アスファルトのメリットについて解説させていただきました。繰り返しになりますが、アスファルト舗装はイニシャルコストが総じて安く、施工後交通解放が速やかに出来て、静寂性に優れ、メンテンナンスが比較的簡単であるというメリットがあります。一方で、アスファルト舗装はコンクリート舗装よりも耐用年数が短く、かつ定期的なメンテナンスをより頻繁に行うことが求められるケースが多く、長期のスパンで比較した場合、コンクリート舗装よりも結果的にコスト高になる可能性があります。

いずれにせよ、アスファルト舗装のメリットを最大限に生かせる現場では、まずはアスファルト舗装から検討を始めてみるのがベストな選択になるでしょう。

次回は、アスファルトのデメリットについて解説いたします。


(参照サイト)
https://www.pavementpreservation.org/wp-content/uploads/2010/12/Noise_Misinterpretations.pdf
https://www.perrinconstructionredding.com/blog/2018/9/25/concrete-vs-asphalt-roads-pros-and-cons-of-each


(執筆者)
経営コンサルタント 前田 健二(まえだ・けんじ)
大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップや経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立、新規事業立上げ、アメリカ市場進出を中心に支援を行っている。

2024.06.14