「コンクリート」のデメリット
前回の記事でコンクリートのメリットについて解説させていただきました。コンクリートとりわけコンクリート舗装には高い耐久性、低いメンテナンスコスト、走行車両の高燃費効率、路面温度の低さといったメリットがあり、地球温暖化やSDGsなどの環境問題に対する社会的意識が高まる中、コンクリートは昨今ますます注目を集めています。一方、コンクリート舗装には、当然ながらデメリットもあります。今回は、そのデメリットについて解説します。
最大のデメリットは「交通解放の遅さ」
コンクリート舗装の最大のデメリットは「交通解放の遅さ」です。「アスファルトのメリット」という別の記事で、アスファルト舗装のメリットとして「交通解放の速さ≒工期の短さ」を挙げ、アスファルト舗装では敷設が終わるとただちに交通解放ができる一方で、一般的なコンクリート舗装では打設が終わった後にコンクリートを硬化させるのに1-2週間程度休ませる必要があり、そうした乾燥養生期間中の1-2週間は、車も歩行者も原則全面立ち入り・通行禁止になることをお伝えしました。
特に交通量が多い道路などでは、工事が完了すれば直ちに交通解放されることが一般的に求められます。現場によっては乾燥養生期間に1-2週間という時間を取ることが現実的にできないというケースも少なくないでしょう。アスファルト舗装のような速やかな交通解放ができないというデメリットは、今後も多くの現場でコンクリートよりアスファルトを優先させる結果をもたらすでしょう。

イニシャルコストの高さ
イニシャルコストの高さもコンクリート舗装のデメリットです。イニシャルコストとは、人件費などを含む工事費や資材コストなどの工事全体にかかる費用の総額のことです。一般的には、コンクリートのイニシャルコストは、アスファルトと比べて割高になる傾向があります。特に工事の規模が大きくなればなるほど相対的にアスファルトの方がイニシャルコストが安くなる傾向があります。
あくまでもケースバイケースですが、アスファルト舗装工事はコンクリートなどの他の資材を使った舗装工事に対して、総じて二割程度イニシャルコストが安いという感覚があります。特に大規模な現場に関して言えば、イニシャルコストが高いというコンクリートのデメリットは、交通解放の遅さというデメリットとともに、多くの現場でコンクリートよりアスファルトを優先させる結果をもたらす可能性があります。
ただし、イニシャルコストにメンテナンスコストなどを加えたトータルコストでは、現場によってはコンクリートがアスファルトよりも安くなる可能性があります。イニシャルコストに加えて多額のメンテナンスコストが見込まれる現場などにおいては、資材選択に慎重な判断が求められるでしょう。

補修が難しい
一般的にコンクリート舗装は破損などが生じた際の補修がアスファルト舗装などに比べて難しいとされており、コンクリート舗装のデメリットとして認識されています。コンクリート舗装道路に破損が生じた場合、破損形態などから原因を推定し、コンクリート舗装の種類や損傷状況に応じた対策を実施することが求められます。
一般的には、「注入工法」「パッチング工法」「表面処理工法」「グルーピング工法・研掃工法」「アンダーシーリング工法」「バーステッチ工法」「局部打換え工法」などの各種の工法で補修が行われますが、コンクリート舗装の設計・材料・施工に関する十分な経験や知識が不足している場合においては特に、それぞれ工事における技術上のハードルになるケースが少なくありません。実際にアスファルト舗装道路などに比べるとコンクリート舗装道路は「補修が大変」というイメージが一般的になっており、実感としてそのように感じている人や会社が少なくないようです。

コンクリートのメリットと特徴についての十分な理解を
一般社団法人セメント協会のホームページによると、我が国における2012年度のコンクリート舗装の割合は高速道路5.6%、一般国道3.9%となっており、欧米諸国に比べて低い水準にとどまっています。なお、アメリカでは15%(インターステート州横断高速道路)、イギリス20%(高速道路)、ドイツ25%(高速道路)、フランス15%(高速道路、新設高速道路では30%)、ベルギー40%(高速道路)となっています。
我が国のコンクリート舗装の割合は、昭和30年代まで全体の半分を占めていました。それが4.5%(すべての道路)に落ち込んでしまったのには、高度経済成長期における早急な道路整備が必要な社会情勢の中で、大量のアスファルトが使われたという背景があると考えられています。「速くて」「安い(イニシャルコストは)」アスファルトは、行動経済成長が生んだ時代の申し子だと言っていいのかもしれません。
さて次回も、もう少しコンクリートの話題を続けたいと思います。日本の景観工法において、道路舗装以外にコンクリートが使われている場所について、その背景などを含めて解説させていただきます。
(参照サイト)
https://www.hus.ac.jp/hokukadai-jiten/detail/b1328a7252f0d9b438dab5c5c9537a130e017b69-18359/
https://www.jcassoc.or.jp/cement/1jpn/jk8_4.html
https://www.jcassoc.or.jp/cement/1jpn/jk7.html
(執筆者)
経営コンサルタント 前田 健二(まえだ・けんじ)
大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップや経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立、新規事業立上げ、アメリカ市場進出を中心に支援を行っている。
