モールテックスとフォークリートはどう違うの?
素材の表面に塗った撥水コートで水を弾かせるのがモールテックス、素材そのものが吸水しないのがフォークリート
フォークリートにご関心をいただく皆様から最も多く頂くのが、「モールテックスとフォークリートはどのように違うのか」というご質問です。パッと見には似たようなものに見えて実際にはだいぶ違うものです。
どういう視点から見るのかにもよりますが、一応、お客さまが享受できる利便性や使い勝手の部分からお伝えしてみたいと思います。
以降は当方が持ち合わせる知識の中でなるべく正確にお伝えするつもりですが、フォークリートの販売店という立場からどうしてもバイアスがかかってしまう可能性もありますので、間違っている点がございましたらご指摘くだされば幸いです。
フォークリート製品ページ
https://sanpou.biz/site/construction/forcrete/
まず最初に、モールテックスはベルギーのBEAL International社様が製造するマイクロセメントです。
BEAL International社様は45年もの歴史がある会社であり、モールテックスは世界の中でも特に日本において抜群の知名度、人気、施工実績が多いマイクロセメントです。
最近いただくご質問の多さを見ても、改めて日本におけるマイクロセメントの普及はモールテックスの貢献による部分が非常に大きいと実感しています。うらやましい限りです。
一方でフォークリートは6~7年前に誕生したイギリスのFocrete社で開発されたマイクロセメントです。
そして、モールテックスもフォークリートも同じ「マイクロセメント」という仕上げ材に属する左官材料です。
例えるとみなさんご存じの「漆喰」という仕上げ材がありますが、「漆喰」は特定の製品名ではなく仕上げ材としての一般名称であり、その中に各メーカーが様々な製品を発売しています。
それと同様に、モールテックスやフォークリートも一般名称「マイクロセメント」という仕上げ材に属する製品のひとつであり、世界中に数多あるマイクロセメント製品の中のひとつです。
ちなみにマイクロセメントとはその名の通り、わずか2~3ミリ程度の非常に薄い塗り厚で露出で仕上げることができる特殊なセメント系仕上げ材の総称です。とても薄い塗り厚で仕上げられることから「マイクロ」セメントと呼ばれています。
各社により若干の違いがあるものの、一般的なマイクロセメントは、セメントと骨材と液体樹脂(ポリマー)を混ぜた、いわゆる「樹脂モルタル」にシーラーまたはトップコートと呼ばれる撥水コートを表面に塗って、水を吸わせないようにしたものです。
あれ、これどこかで見たような組み合わせだなあ、そう感じた方もいらっしゃると思います。
そうです、よく左官工事で使用する「補修材」と基本的には似たようなものです。
補修材とマイクロセメントが違うのは、補修材は下地としての用途で、その上に長尺シートを貼ったり塗装したりなど、何かで覆い隠してしまうような用途で使われますが、マイクロセメントはそのまま露出で仕上げとして使うのが前提となっているという点くらいで、材料の構成としてはよくある組み合わせのものです。
モールテックスもこの一般的なセメントと骨材と液体樹脂(ポリマー)を混ぜた「樹脂モルタル」のひとつです。
この「セメントと樹脂を混ぜたもの」が世界中のマイクロセメントのスタンダードな形です。
さて、マイクロセメントが近年急速に人気が高まった理由の一つに「防水性が高い」「水を通さない」と謳われ、従来の普通モルタルが使用できなかった水回りやバスルームなどをモルタル調のシームレスなデザインにできるのではと期待され、世界中で採用例が急増しました。
ところが採用が増えるに従い、実際には水が浸み込んでシミになったり汚れたりすることが多く、期待したほどの防水性ではないと失望の声が散見されるようになってきました。
水やコーヒー、ワイン、調味料などこぼすと珠のように弾く様子を見かけることも多いと思いますが、水をこぼした瞬間はそうであってもずっとそこに放置しておくと徐々に水圧で浸透していきます。ましてや水圧のかかる水没環境下ではほぼ実用には耐えません。
比較的短時間の「撥水」はできても「防水」はほぼできません。
というのも、一般的なマイクロセメントにおける防水性能はその表面に塗布した(コピー用紙の厚みにも満たない、わずか数十ミクロン程度の厚みの)シーラー(汚れ防止の撥水コート)または油分を刷り込むことなどで水を弾いているに過ぎないからです。
シーラー(撥水コート)が完全に連続した膜を形成できなかったり、単に塗りムラがあったり、引き渡し時はともかく、日常生活が始まって使い始めれば歩行で傷が入ったり、物を落として表面がちょっと欠けたり損傷したりすることは避けられません。
またどうしても壁と床の取り合い部分などは完全に隙間のない一体化した仕上げにはできにくいため、そういう箇所から水が回りマイクロセメントの断面から水を吸い上げてしまい、濡れ色になり、そのうちシミになって変色したりしてしまいます。
そういった伝統的なマイクロセメントの最大の問題点「防水性が高いと言いつつ実際には水が浸み込む」ということを根本的に解決することを最大のミッションとして新たに誕生したのがForcrete社です。
フォークリートは、もともと水を吸い込む素材である「セメント」でできた樹脂モルタルに、撥水コートを塗って表面で水を弾いて防水するという方法では、どのように丁寧に施工しようとも、長期にわたり完全に水を吸わせないようにすることはほぼ現実的には難しい。
だったら材料自体を全く吸水しない素材で作るしかないと考えました。そうして誕生したのがフォークリートです。
フォークリートは塗る材料そのものがすべてエポキシ樹脂と骨材で構成されており、いわゆる普通の「セメント」は一切使用していません(なので広義のセメントです)。
よって水は全く吸いこみません。だから100%の防水です。
完全に水没させても、切っても削っても塗膜の断面からも含めどこからも物理的に吸水しません。
フォークリートはどんなものかを端的にイメージしていただくとすれば、機能としてはいわゆるFRP防水または工場などの床で使われるエポキシの塗り床で、その表面の見た目と質感が無機のモルタルのような左官仕上げの質感となったようなものだとイメージしていただくと理解しやすいかと思います。
なので一般論としてセメント系の材料に比べて確実に防水ですし、下地への接着性、塗膜の強度、耐摩耗性なども優れていますし、セメント系材料にありがちな白華(白く色がぼけるとか白いエフロが発生すること)などの問題も起きにくいです。
ここが従来のマイクロセメントとは全く異なる点です。
ただし弱点としましてはやはりどこまで行っても本物のセメントではないので、いわゆるそういった変色も含めてのセメントの自然素材としての良さのようなものを表現する場合にはモールテックスを含めた一般的なマイクロセメントの方に分があります。
以下ではフォークリートの100%防水で高強度という性能を生かしたたくさんの施工例をご覧いただくことができます。ぜひご覧ください
https://www.instagram.com/forcrete_/
Focrete製品ページ
https://sanpou.biz/site/construction/forcrete/
絶対に水の浸み込みによる問題を引き起こしたくないそんな場合にはフォークリートで、そこまでは要求しないという現場では一般的なマイクロセメントと状況に応じて賢く使い分けていただくのがよろしいかと思います。
最後までお読みいただいてありがとうございました。よろしければぜひ資料・サンプルをご請求ください。
株式会社三豊工業 佐藤俊也