
スタンプコンクリートとは床面に流し込んだ生コンクリートがまだ完全に固まる前の
柔らかいうちに、天然石やレンガ・木材などの自然素材の模様のついた”型”を押し付けて
模様を転写し、コンクリートの表面に適度な凹凸のある模様を施す米国発祥の工法です。
工場で作られた製品を並べたり貼ったりするのではなく、施工現場にてコンクリートや
モルタルに対して立体成型や着色を施す工法を総称して
デコレイティブコンクリート(装飾されたコンクリート)と呼びます。
床用、壁面用、新設向き、リフォーム用その種類も数ありますが、その中でも
最も基本的で普遍的なものがスタンプコンクリートで全世界で使用されています。

自在な意匠性
スタンプコンクリートには、自然石やレンガ、タイル、木材などの自然素材を模した豊富なデザインパターンと、オーダー可能な無限のカラーバリエーションで、1万種類以上の表情を作り出すことが可能です。
明るくポップにも、重厚でレトロにも。デザイナーのイメージに忠実にお答えできます。堅牢性に優れ、メンテナンスの手間がかからない
スタンプコンクリートは現場に流し込んだコンクリートの表面そのものを着色し、型押しで立体成型するため、タイルやレンガ自然石のように何かを貼っているわけではないので、割れたり剥がれることがありません。大型車やバスの乗り入れにも十分な耐久性があります。
また、インターロッキング舗装のようなブロックのガタつきや、目地からの雑草の繁茂もないので、メンテナンスの手間が大幅に軽減されます。優れた経済性
世界中どこにでもあるコンクリートを主な材料として使うため、経済的です。素早い施工
いっきにコンクリートを流し込んで、いっきに型押しを行うため、石やレンガをひとつづづ貼っていくのに比べ、施工が早いのも魅力です。
条件が整えば1日当たり200m²以上の型押しも可能です。大面積の現場や工期のない現場でのVE案としても最適です。凹凸、色調など自然石の素材感をそのまま再現
スタンプコンクリートの最大の特長は、自然石や本物のレンガと見間違うばかりの質感と自然な色調です。
仕上げたその日から長い年月を経たような素朴な趣や、深い味わいのあるテクスチュアが楽しめます。
遊歩道を洒落たレンガ模様にしたり、高級ホテルのエントランスを上品なヨーロッパ調に仕上げたりすることができます。耐久性にすぐれ、美しさが長持ち
スタンプコンクリートが施工された舗装面は、普通コンクリートの2~3倍の耐磨耗性があり、ほこりが出にくく、紫外線に強く色褪せしにくい舗装材です。
着色剤を未硬化のコンクリートに直接擦り込むように仕上げますので、剥がれず、色落ちもしにくいものです。どんな敷地にも自在に対応
型を押すだけの施工のため、曲線の敷地でも端部の切りものがなく対応できます。
ある程度の段差や勾配であれば、ゴムの型押しマットが馴染むので施工ができます。

01.コンクリート打設
施工箇所に生コンを打設します。表層の砂利を十分に沈め、水勾配に注意しながら、トンボや鏝を使い平滑に均します。コンクリートの配合は呼び強度21N/㎜2 以上、スランプ8~18cm程度のものを気象条件、現場状況などに合わせ選定します。
02.カラーハードナーX散布
打設したコンクリートの浮き水が引いたタイミングでカラーハードナーXを均一に散布します。
03.カラーハードナーX鏝押さえ
散布したカラーハードナーXがコンクリートの水分を吸って色が濃くなったら鏝やトンボを用いてコンクリートと一体化させるように十分な押さえを行います。
04.スタンプ(型押し)
施工面に型押し用スタンプマットを置き、端から順にスタンプして型の模様を転写します。叩いたマットはすぐにはずし順に前に送りながら繰り返し模様を転写します。コンクリートの硬化状況を見極めながら叩く強さを加減します。
05.リリース化オイルXカラー塗布
型押しした施工面にリリースオイルXカラーを塗布または噴霧します。リリースオイルXカラーが目地部や模様の凹部に流れ込み自然な陰影を醸し出します。
06.洗浄・補修
1週間程度の乾燥養生期間を設けた後、余分なカラーリリースを除去し色調を整えるために水洗いを行います。補修が必要な場合にはこのタイミングで行います
07.クリアーシールX塗布
洗浄した水分が乾燥したら最終仕上げに保護剤としてクリア―シールXを2回塗布して乾燥すれば完成です。

日常のお手入れ
スタンプコンクリートは施工直後より少し時間が経って細かいほこりや多少の汚れがコンクリートの微細な隙間に入り込んだくらいの方がより自然に馴染ますのであまり気にせずお使いください。あえてしていただけるならば大きなごみや砂を水で洗い流す程度で十分です。

長期的には
とはいうものの、長期的に見ますと全く劣化しないわけではありません。
劣化の主な原因は人や車の通行による擦り減りとコンクリート自体の経年劣化です。
人や車の通行による擦り減りはその懸念がまったくないわけではございませんが、1日当たり数万人の来場者がある大型テーマパークなどでも使用される建材の為、通常の規模の現場や住宅程度の通行量ではすり減ってしまうということはほとんど考慮しなくてよい程度です。
それよりはもともとがコンクリートでできている為、コンクリート自体の風雨による自然劣化の影響は避けられません。
一般住宅の駐車スペースのコンクリートなどをご覧いただければわかりますが、新設時には表面がつるつるしてキレイですが、5年10年と経過すると表面のセメント分が洗い流されて徐々に砂が現れザラザラしてきます。
スタンプコンクリートもコンクリートですので例外ではなく徐々に表面がざらざらしてきますがそれを遅らせるために仕上げ時にクリア―シールと呼ばれる無色のコーティング剤を塗布しています。
これにより雨やコンクリートを侵す異物が外から侵入しにくくしています。しかしこれもあくまで塗装で永久的なものではない為この塗装が劣化して薄くなってくると保護の効果が少なくなってきます。
このクリア―シールの保護膜がなくなってしまっても使用上差支えはなく普通コンクリートと同程度の耐久性は確保できますが、より一層見た目の美しさを長期にわたり確保したい、あるいは回復させたいとお考えでしたら保護膜が完全になくなってしまう前に1~3年ごとにクリア―シールの再塗付をしていただければより一層長持ちします。
雨がかからない場所や屋内の床面ではほとんどその必要はございません。
