
ステインクリートは、コンクリートやモルタル等のセメント系の母材に塗布、
含浸させることにより、コンクリートやモルタル内部の成分との化学反応により
予期せぬ色の変化や斑紋、色ムラなどを作りだす染色液です。
塗料や顔料による人工的な色付けと異なり、焼物における窯変にも似た
自然な風合いと色彩が得られます。
コンクリートへの着色方法は、「塗料の使用」と「顔料の使用」の二種類の方法が一般的です。
しかしステインクリートは、”塗る”というよりも”染める”という感覚に近い製品です。
ステインクリートをコンクリートやモルタルに塗布・浸透させると、即座に化学反応が始まり、
数時間経って洗い流すと、もとはただのコンクリートだとは思えないような、
透明感がある深い色合いに染め上がります。
特殊な色彩効果を得るため、2 色以上のステインクリートを混ぜ合わせたり、1色目を施工後、
乾く前に他の色を塗り重ねてグラデーション効果を狙ったり、塗布直後に水を垂らして滲ませたり、
逆に水を垂らした部分に塗布する等の様々な使用方法が可能です。

下地の質感をそのまま生かした半透明な仕上がり
仕上がり具合は、塗料や顔料などとは全く違い下地の質感を消さずに、透明感と色ムラのある何ともいえない独特の深みのある仕上がりとなります。
塗膜がないので剥がれません
ステインクリートはコンクリートやセメント系素材にしみこんで表面を染めるので、塗装のような「塗膜」はなく、「ステインクリート自体が剥がれるということ」はありません。(ただし、染まるのはコンクリートの極表層なので染めたコンクリートの表層自体が磨耗してしまえば色は徐々に擦り減ってなくなってしまいます。通常はトップコートによる保護を必要とします。)
人為的な着色では不可能な自然な色むら
ステインクリートの仕上がりの色は、塗布するステインクリートそのものの色ではなく、塗布した液体が化学変化を起こして変色した結果の色です。例えば黄色の液体を塗布した結果コンクリートの表面が茶色に染まるというイメージです。 ですので、同じ色名のステインクリートを使っても、必ずしもいつも同じ色になるわけではなく、下地コンクリートの乾燥状況の違いによる吸い込みや、コンクリート内部の成分の分布の違いにより全く同じ色の部分はひとつもない独特の色ムラのある透明感のある仕上がりになります。
セメント押出成形板、コンクリート2次製品などにも染色可能
ステインクリートは現場打ちのコンクリートやモルタルだけでなく、セメント押出成形板やコンクリート2次製品など工場生産されるセメント製品にも反応します。下地の持つ質感をそのまま生かした仕上がりは塗装ではできない表現ができるためそれらの仕上がりに新たな可能性を広げます。

01.周辺養生
ステインクリートが飛散し周囲に付着するとシミとなり落とすことはできませんので、養生を入念に行います。
ステインクリートは金属を腐食させるので金属部分は特に入念に養生を行うこと。02.下地処理
下地をよく洗浄し、埃や油汚れ、レイタンス、塗料、接着剤等、ステインクリートの含浸を阻害するものは完全に除去し、充分に乾燥させてください。
03.ステインクリート塗布(1)
ステインクリートを噴霧器を使い施工面へ塗布します。
床面の場合には50㎝~1m程度離してノズルの先で円を描くように吹きつけ、吹きつけた部分の床がしっとりと濡れる程度まで噴霧します。
壁面の場合には液ダレが起きないように注意しながら噴霧してステインクリートを浸透させます。04.ステインクリート塗布(2)
1回目の塗布後 4時間以上の化学反応の時間を与えたのちに 2回目のステインクリートを 1回目と同様に塗布します。
1回目と 2回目のステインクリートを異なる色で施工する場合には、1回目を水洗いしてから乾燥させ 2回目を塗布します。
そのまま8~12時間以上放置します。05.中和処理
施工面に残っているステインクリートを洗浄します。
専用中和剤を施工面に噴霧し、2~3分放置した後、充分な水で洗い流します。06.トップコート
施工面が十分に乾燥したら、各種トップコートを塗布して完成です。

日常のお手入れ
ステインクリートは、コンクリートやモルタルなどの素材の表面そのものを染めるように着色します。
それ自体には塗装のように塗膜はありませんので剥がれることはありませんが、床面に関しては、人の歩行や通行によりステインクリートで染めたコンクリートの表層自体が擦り減ってしまえば下地が露出してきてしまいます。
すり減りや傷による下地露出を少なくするために、靴の裏について運ばれてくる砂やほこりなど、研磨剤の役目をしてしまうものを清掃してください。
壁面に関してはその必要はございません。

長期的には
ステインクリートの仕上げには、発色性と防汚性を向上させ、摩耗による影響を軽減させるために、保護膜形成のために何らかのトップコートで保護することを推奨しています。
保護膜がなくなるとステインクリートで染めた表層が直接摩耗しますので、定期的にトップコートを再塗付するか、ワックスなどを塗り重ねる、塗りなおすなど定期的な保護膜の形成をお勧めします。
その間隔は交通量により1~5年程度ごとを推奨します。
いずれにしましても、床面での使用に関してはある程度定期的なメンテナンスを必要とする仕上げ材とお考えください。
壁面に関しては摩耗しませんのでこの限りではありません。
使用上の注意
- ステインクリートは塗料ではなく毒物劇物に該当する薬剤です。
弊社からご購入の際には譲渡証明の提出をお願いいたしております。
弊社から御購入いただいたステインクリートを再販される場合には毒物劇物の販売業の許可が必要となります。 - ステインクリートは色の変化、斑紋、色ムラ等を積極的に作り出す材料です。
色ムラの発生は特異な現象ではなくステインクリートの普通の現象です。 - 塗料ではありませんので下地の質感を隠蔽することはできません。
これはステインクリートの特徴とお考えください。 - 色彩効果は施工される下地の状態により変化しますので、色見本とは大幅に異なる場合がございます。
これは特異な現象ではなくステインクリートの普通の現象です。よって色の詳細な指定はできません。 - 下地の乾燥状態や吸い込みの度合、施工環境等の様々な条件により色彩効果は変化しますので、
できる限り現場での試験施工をお勧めいたします。
その場合でも試験施工と本施工では同一にならず異なる場合がございます。
これは特異な現象ではなくステインクリートの普通の現象です。 - サンプル板も材料の性質上、色の保障をするものではありません。
大まかな傾向を見る程度とお考えください。
上記の性質を充分にご理解いただいたうえでご採用ください。性質に納得がいかない場合には採用をお控えください。
